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ゲームの話や日々の駄文など

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F1 2016はシリーズ史上最もF1なゲームだ

 コードマスターズが開発し、日本ではUBIが販売を手掛けているF1 2016。実は私はF1が好きで、毎戦CSでの中継を楽しんでいるのだが、当然このゲームも発売日に購入した。今回はその中身に触れていこうと思う。

 

 

  ゲームの中身に触れる前に、私のF1の知識について話しておこうと思う。私がF1ファンと言っても、見始めたのは2010年のカナダグランプリという新参者だ。当時ザウバーチームで走っていた日本人ドライバーの小林可夢偉の走りに魅力を感じたのがきっかけだった。確かそのレースではリタイアだったが、それでも感じる何かがあったのは間違いない。その後は可夢偉を見るために鈴鹿サーキットへ行ったり、2012年には可夢偉サポートへ寄付をしたりもした。ただ、それ以外のF1の知識といえば、往年のファンと比べればミジンコのようなものだと思ってほしい。

 ではここらで閑話休題として、そろそろゲームの話に移ろう。

キャリアモードの復活

 今作の最大のポイントはキャリアモードの復活だろう。前作は次世代機への対応などに追われた影響か、同シリーズの顔とも言えるキャリアモードが削除されてしまっていたが、今作では大幅にパワーアップして復活している。

 キャリアモードとは、プレイヤー自身がF1ドライバーとなり、F1での闘いを体験出来るモードだ。他チームの選手やチームメイトとのバトルを楽しんだり、マシンの開発をして少しずつ速さを手に入れていく感覚は、F1を見ているユーザーにとって素晴らしいもののはずだ。そして今作では前作までに無かったリアルなF1を追及した要素も含まれている。

重要性が増したフリープラクティス

 現実のF1では基本的に金曜日から日曜日の三日間に分けてイベントが行われる。金曜日はフリープラクティス1とフリープラクティス2。土曜日はフリープラクティス3と予選。そして日曜日にレースといった具合だ。大抵のレースゲームといえば、レースのみに焦点を当てて、予選はまだしもフリープラクティスなどをメインに組み込んでくる事は少ない。F1シリーズは公式ライセンスゲームという事もあり、コードマスターズが手掛けた最初の作品であるF1 2010からフリープラクティスをメインにも組み込んだ硬派なゲームなのだ。そんな硬派でマニア向けなゲームではあるが、さらに今作では、万人向けのレースゲームでは絶対に出来ないと思われる、"現実で行われているもの"が追加された。

 まず、現実でのフリープラクティスで何をするのか説明しよう。現実のF1では3回のフリープラクティスでマシンの様々なチェックを行い、レースや予選に向けてセッティングを変更したり、新しく作られたパーツのデータを採取したりと、とても忙しいのだ。前作までもセッティングの変更の為に走って確かめたりはしたのだが、あまり重要性があったとは言えず、ちょこっと走って練習すればOKという感じの人が多かったのではないだろうか。だが今作は違う。現実と同じように、チームからタイヤの摩耗具合のチェックや、予選シミュレーションなどの課題が提示され、それの結果に応じてマシンの開発に使えるポイントが付与される。つまり、フリー走行でF1レーサーの仕事をこなすことは、キャリアモードにおいてはプレイヤースキルの次に重要なものになったということだ。

フリープラクティスの3つの仕事

 フリープラクティス中には主に3つの仕事がある。コース順応とタイヤマネジメントと予選ペースだ。コース順応はコース上に設定されたチェックポイントを出来るだけ素早く正確に走るのが目的だ。タイヤマネジメントは、予め設定されたタイムより早く、かつタイヤへのダメージを少なく丁寧に走る事が求められる。そして予選ペースは、タイヤのダメージや燃費などの配慮など捨て、全力でコースを掛け抜ける。どれも実際のF1で重要な仕事だが、これをプレイヤーが体験出来る。これらはただレースで1位取れば良いという、他のレースゲームではなかなか体感出来ないものだろう。

 この3つのなかでも、タイヤマネジメントは素晴らしいものだった。実際のレースではただ飛ばせば良いというものではなく、タイヤの摩耗や残りの燃料を気にしながら、それでも遅く走ってはいけないという、絶妙なドライビングが要求される。

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これは実際のゲーム画面だが、左がタイヤの摩耗具合で、右がラップタイムのグラフだ。点線がチームが予測した数値で、自分が実際に走ってどうだったかを比較出来るようになっている。この図ではタイヤは予測よりダメージが少なく、ラップタイムも概ね予測より早いという、上出来なものだ。この走りをレースでもすれば良いというわけだ。逆に悪い結果が出ていれば、セッティングなどをもう一度考える必要があるという事も分かる。ただポイントを稼ぐだけではなく、プレイヤーがするべき行動も示してくれる、とても良く出来たシステムだと感じた。

 コース順応と予選ペースについてだが、これは実際に私がプレイした様子を録画したものがあるので、そちらを見ていただこうと思う。


F1™ 2016_フリー走行 コース順応プログラム


F1™ 2016_フリー走行 予選シミュレーション

ところで、エンジンサウンドも現実と似せているのだが、ホンダPU独特の音が良く再現されているのではないだろうか。好みが分かれるところだが、私はあの音が好きなので、走るだけでもテンションが上がってしまう。

ついにフォーメーションラップ導入へ

 F1中継を見たことがある人なら分かると思うが、スタート位置へ並んでいきなりレースというわけではない。まずはフォーメーションラップといって、予選で決まった順位のままコースを1周する必要がある。この間にもタイヤやブレーキの温度を保ったりと、ドライバーは様々な仕事をこなす必要がある。聞いただけでも面倒くさそうと思うが、実際にこれを採用しているレースゲームは皆無に等しいだろう。同シリーズも同様で、いくらマニア向けといえども需要があるのか分からなかったのか今まで採用されなかった。しかし、このフォーメーションラップはレース前の重要な作業であるし、1周してグリッドへ帰って来た時のあの静寂と、そこからのエンジンを回してスタートする瞬間の気の高まりは、レースで一番興奮する瞬間と言っても過言ではない。なので、このフォーメーションラップの実装は、個人的に一番嬉しかったものと言っても良い程だ。こちらも動画にしてあるので、その魅力を感じてほしい。


F1™ 2016_フォーメーションラップ

しかし、残念な点もある。フォーメーションラップ完了からスタートへ移行する間に、セーブをするためなのか暗転する場面がある。これで高まった気持ちが減退してしまうので、次回作ではどうにかしてもらいたいところだ。

F1 2016はもっともF1なゲーム

 F1シリーズは公式ライセンスを取得している唯一のF1ゲームであり、そのリアリティは過去作から折り紙付きのものであったが、今作では通常のレースゲームがユーザー離れを気にして手を出せないような現実的な要素も取り入れ、更にF1らしい仕上がりとなっている。F1を見ているだけという人も、実際に彼らが何をしているか、如何に大変な作業をしているかというのを、身をもって体感することが出来るこのゲームを、是非とも味わってほしい。

 勿論、硬派なゲームとはいえ、あまりゲームが得意でないというユーザーへの配慮も忘れていない。ブレーキアシストなどの各種アシスト機能を活用すれば、マリオカート並みとは言わないが、それに近いまでの難易度にはなるし、是非ともチャレンジしてほしい。

 また、キャリア以外にもオンラインプレイやタイムアタックなどの定番要素も備わっているので、より高みを目指すなら、そちらも楽しんでほしい。

 最後に、全てのF1ファンにお勧めなこのゲームを、是非ともプレイして頂きたいという事をお伝えして、今回のレビューを終了しようと思う。